2023年03月29日
新型コロナウイルスの感染拡大で世の中が混乱する中、自治体のDX化が急速に求められていますが、適切な対応が難しいとお悩みのご担当者様も多いかと思います。
自治体のDX化にはアプリが有効で、既に成果を出している自治体も多いです。アプリを利用することで住民満足度が大幅にアップ、職員の方の負担が軽減できるなど、さまざまなメリットが期待できます。
今回は、財政難にお悩みで住民満足度の向上を目指す自治体の方々のために、自治体アプリの概要・メリット・活用事例などをご紹介します。
財政難にあえぐ地方自治体
自治体のDX化が求められている背景には、地方財政が急速に落ち込み、自治体の借入金残高が増え続けているという現状があります。
1 地方財政の急速な落ち込み
現在、全国には1,700余りの市町村がありますが、多くは財源不足の状態であり、地方財政の深刻さが問題になっています。
原因の1つは主要な財源である税収の減少で、近年の減税や地方税収の落ち込みにより、とりわけ平成初期以降は自治体の財政が急速に悪化しました。
2 平成22年には過去最大の財政難
平成22年にはさらに日本の景気後退の影響も加わって自治体も大きな打撃を受けました。国税5税と呼ばれる各税収の落ち込みが原因で地方税や地方交付税による収入が減少したことで、自治体の財政が大幅に悪化したのです。全国の自治体の財源を合計すると、過去最大の18.2兆円が不足するという深刻な状況になりました。
3 増え続ける借入金残高と対GDP比
苦しい財政を抱える自治体は、借入金によってやり繰りすることを余儀なくされています。令和4年度末には、全国の自治体の借入金残高の総額が189兆円にも達し、対GDP比は33.6%を占めました。
住民増加に直結する満足度向上は急務!
自治体が税収を確保するには、住民が減少する状況を食い止め、逆に増加させる対策が求められます。人口を増加に転じさせるには、住民の満足度向上が必要で、その鍵のひとつとなるのがDX化です。
DX化を進めることにより、住民のニーズに合わせた情報サービスを提供でき、満足度が高まり、人口増加が期待できます。
地方自治体がアプリを導入するメリット
幅広い年代が利用でき情報格差を解消
アプリを利用するにはスマートフォンが必要ですが、普及率が高まっている現代社会においては、高齢者でもスマートフォンを利用する人が増えてきています。以下の統計によれば、現在の日本のスマートフォン普及率は、60代で約9割、70代で約7割にも達しているのです。
注1:2016 年、2017 年は調査未実施。
注2:2015 年の「スマートフォン」はタブレット所有を含めて集計。
注3:2018 年は家族で共有して所有している端末を含み集計。
出所:2015 年シニアの生活実態調査(訪問留置)
2018 〜2022 年一般向けモバイル動向調査(訪問留置)
(出典:NTTドコモ「データで読み解くモバイル利用トレンド 2022-2023―モバイル社会白書―」を出版 )
以上のデータから高齢者でも日常的にスマートフォンを利用している人が多いと言えます。アプリを利用して情報を発信することで、幅広い年代に対して情報格差を解消することができ、住民の満足度向上にもつながるでしょう。
最新情報を即座にプッシュ通知
スマートフォンアプリを利用することにより、自治体からの最新の情報をプッシュ通知で簡単に伝えることができます。自治体のホームページにアクセスするよりも迅速に情報を伝えることができるため、住民と自治体の精神的距離が近くなるでしょう。特に情報が早いプッシュ通知は、災害や緊急時などの非常時には特に効果的です。
また、高齢化が進む現代社会では独居の高齢者が増えているため、行政のニュースが適宜伝えられることが、安心感や自治体に対する信頼感の向上にもつながるでしょう。
ペーパーレス、キャッシュレスで利便性が向上、環境にも配慮
自治体から発行される広報誌や地域商品券の配布をスマートフォンアプリで行うことにより、ペーパーレス化・キャッシュレス化が実現できることもメリットです。これにより、広報誌の作成・印刷・配布の手間が省けるだけでなく、地域商品券も電子化することで、配布をスピードアップすることができ、住民の満足度が向上します。
また、ペーパーレス化によってゴミの削減や環境保護にもつながるでしょう。自治体の職員・住民の双方にとって利便性の向上を実現しながら、同時に環境保護にも貢献できるという大きなメリットがあります。
SNSより住民との距離感が近い
自治体がスマートフォンアプリを運用することで、住民との精神的な距離を縮めることができ、自治体のDX化に高い効果が期待できます。SNSは若い世代には幅広く浸透していますが、種類が多いこともあり、高齢者には利用しにくい側面もあります。
また、SNSは受信する情報量が多過ぎるため、自治体からの情報が埋もれてしまう傾向があります。そもそも高齢者はSNSを使わない人が多く、使う人でも家族や知人との連絡用にLINEを利用する程度でしょう。
また、決められたプラットフォームを使うことを余儀なくされるSNSオリジナル性を構築するのが難しいですが、アプリはその地域に合わせたシステムを構築しやすいというメリットもあります。アプリのアイコンに、以下のような市章や「ゆるキャラ」など住民に馴染み深いシンボルを使用すれば、親近感を持ってもらいやすく、住民の満足度向上にもつながるでしょう。
街の活性化に繋がる
アプリの導入による自治体のDX化は、地域の活性化にもつながります。例えば、自治体の商店街のみで利用できるポイントやクーポン券なども、アプリなら簡単に発行が可能です。また、アプリから期間限定のキャンペーン情報などを配信すれば、チラシを配布するよりも迅速に、かつ幅広い住民に知らせることができます。
住民にとっても、常に持ち歩いているスマートフォンでクーポン券などを簡単に利用できるので、券面を無くしたりすることもなく、サービスが利用しやすくなります。郊外の大型ショッピングモール等に顧客を奪われ、利用者が減少してしまっている商店街にも、活気を取り戻せる可能性があります。
アプリによるDX化を推進すれば、住民が自治体の中で消費活動をしやすくなり、街全体が活性化するでしょう。
まとめ
自治体の住民への満足度向上には、アプリで住民が知りたい情報を配信することが効果的です。
アプリであればSNSよりも幅広い層に訴えることが可能なので、住民の流出防止、さらには移住促進にもつながります。まだ本格的なDX化に取り組めていない自治体でも、スマートフォンアプリならば比較的導入しやすく敷居も低いです。
防災やゴミ収集などの生活に欠かせない情報提供はもちろん、メルマガやイベント告知なども、アプリを利用すれば簡単に行えます。この機会にぜひアプリによる自治体のDX化をご検討ください。